科学ジャーナリストのロルフ・デーゲン氏は、心理学を「最も重要な学問であると同時に、最もどうでもよい学問」と述べる。心理学は神話にまみれている し、神話の首をどれだけ切っても再生し続けるし(否定されたはずの精神分析はいまだに信じ続けられ続け そういった神話はかたちを変えてまた世に登場し そのなかには神経言語プログラミングなどと名前だけ科学の体裁をとった厄介なものもある)、それに加えて心理学はいまだに人っ子ひとりを禁煙させることも できないのである。しかし、心理の問題は私達の根本問題であり続けると同時に、神話の陰に隠れてちゃんと実証的な研究も進んでいるのである。
デーゲン氏は、ちまたに跋扈する俗説を実証的データにより論破するなかで、私達に心理学の最前線を見せ付ける。それら論破された言説は私達が信じ込んでいるものばかりであった。以下、実証された新たな事実を適当に選んで並べてみる。
「心理療法には全く効果がない(三年以内に大概の人間は自然治癒する)」
「人格に働くのは遺伝的作用が比較的強い(教育や環境はそこまで強く作用しない)」
「自尊意識を高めても、学力は高くなるわけでもないし、コミュニケーション能力も高くなるわけでもないし、非暴力的になるわけでもない」
「自尊心の低い子は、物事を客観的に見ることが出来る(自尊心の高い子は客観的に見る回路を麻痺させている)」
「マスメディアはほとんど影響を与えることはない」
「モーツァルトも、褒めることも、頭を良くすることは一切ありません」
「瞑想は、してもしなくても変わらないし、気が滅入る子もいる」
目から鱗が落ちるとは、こういうことを言う。
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